D病院には、無記名の紹介状を持参して行きました。
妊娠した途端に受診を断られた、Sクリニックで書いてもらった紹介状です。
その紹介状は、過去の転院の際に書いてもらってきた紹介状とは少し違っていました。
何が違ったのかというと
「厚み」
です。
今まで転院を繰り返した中で、精神科の先生達は
「今回の紹介状には、過去の紹介状を必ず同封します」
と言っていました。
つまり、強制入院でお世話になったH病院から転院する時に書いてもらった紹介状から、今に至るまでの紹介状を全てコピーして同封するという意味です。
今の私を診るだけでなく、過去の状態を知らせることも重要という判断だったのでしょう。
数々のメンタルクリニックを受診して、先生達は同じように同封してきたため、結婚してSクリニックを受診した時に持参した紹介状はとても分厚いものでした。
「そんなものだろう」
私はそう考えていました。
しかし、Sクリニックの先生が書いて下さった紹介状の封筒はとても薄くてぺらんとしていました。
過去の紹介状が同封されているとはとても思えませんでした。
私はそのことに気付き、時々電話していた母に話していました。
母は心配し
「Bメンタルクリニックの先生には2通紹介状を書いてもらったでしょう。そのうちの1通は使わなかったから、まだあるじゃない。それを持っていったら?」
と言いました。
私は転院がうまくいかない経験があったため、保険適用外で自費で支払ってでも2通の紹介状を保険として書いてもらっていた時期がありました。(恥辱の転院記事参照)
しかし結婚してからSクリニックに紹介状を書いてもらった時は、まだSクリニックの先生に長く診てもらっておらず、
「紹介状が不要であれば、その病院が返却してくれますから2通はいりませんよ」
と言われて、1通のみになっていました。
私は過去の紹介状(分厚い、今までの紹介状が同封されたもの)を一緒に持参するかどうかを主人に相談しました。
そして相談しながらも、私の決意は固まっていました。
今回、歴代の分厚い紹介状は持参しない。
「いまの私」を診てほしいから。
主人も賛成してくれました。
「いいんじゃない?Sクリニックの先生はそれでいいって判断したわけでしょう」< /p>
少し説明が長くなってしまいましたが、つまりはD病院に行くとき、今までの紹介状が同封されていない状況で受診した、初めての経験となったのです。
「過去の私」を診てもらいに行くわけじゃない。
考えてみれば、過去の紹介状なんて要らないんじゃないの?とも思います。
他の病気で、延々と過去の紹介状をさかのぼってすべて医師に読んでもらったりするでしょうか…?
ただ、一つ言えるのは一般的な身体の病気は検査等で目に見える病状が明らかに分かるのに対して、精神科の診断は医師の経験則に頼る部分が大きいということ。
それを補助するような役割があるのかもしれません。
ちなみに私の母は、受診するまでの間に何度か電話で
「大丈夫なの?過去の紹介状を持っていかなくて」
と言ってきました。
「もし必要だったら、Sクリニックに電話してFAXで送信してもらうなり何なり、方法はあるから大丈夫だよ」
と説明し、ひとまず納得させました。
D病院で受付に向かい、受付の人の笑顔に何だか少し安堵しました。
電話予約が必須だと、電話口で冷たく断られてしまうことが多かったので構えていましたが、対面すれば案外温かく迎えてもらえるものなのかなと感じました。
精神科はとても混み合っていて、待つこと約2時間。
先生は、偶然でしたが女医先生にあたりました。
夫と一緒に病室へ。
「初めまして、よろしくお願いします、そめやです…」
この時笑顔で出迎えてくれた、ふくよかでおおらかな先生に、今でも感謝の気持ちが尽きることはありません。
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