前回、一生懸命探した病院に精神科受診を希望したら、電話口で断られた話を書きました。
その時私は
「妊娠してからしばらくは精神科を受診せず、分娩予約を正式にとってから精神科受診する」
というプランが実現可能なのかどうか、とても不安に思いました。
不安でしたが、やるしかありません。
次に考えたのは、
「電話予約をしなくても、いきなり受診できる病院に行く」
ことでした。
精神科の病気というのは、病院に行って診てもらうということだけでも本当に大変です。
紹介状を持っているのか、それは当院の医師に宛てたものなのか…。
そんな質問にぶち当たる度に、悲しい思いを繰り返してきました。
それだけ精神科は混んでいるのかもしれませんが。
もうこれ以上患者をあまり増やしたくない、そういう水際作戦にも思えます。
精神科のある総合病院をインターネットで探すと、精神科に関しては完全予約制(受診前に電話予約が必須)をうたっているところが多かったのですが
一つ、何科を受診するのであっても
「平日午前中に初診受付をします」
という病院がありました。
つまり、いきなり病院に行って診てもらえるということです。
その病院は、私が前回記事で書いた病院への希望
-
入院施設がある大きな精神科
-
産婦人科がないところ
に関しては、
1については問題なかったのですが
2に関してはしっかりと産婦人科を併設していました。
私が分娩予約を済ませた病院は、こだわりを持って選んだ病院だったので(「妊娠に至るまで(3)~産みたい病院を決めたとき」記事参照)、「こちらで産んでください」と言われたら嫌だなと思いましたが、そんな時に備えるために分娩予約を済ませてから精神科を探したのです。
精神科を併設する総合病院で(「入院施設がなければ妊婦さんを精神科としては診ることができません」とSクリニックに断られたことをずっと気にしていました)、しかも電話予約をしなくても行けるところは、私の住まいの範囲内ではそこだけのようでした。
そこをD病院とします。
ちなみに前回記事で
「自治体に相談したらどうですか?」
というアドバイスを電話口でもらっていましたが
自治体に相談しても私の希望は細かいので相手にしてもらえないだろうと思いました。
出産にこだわりがあるとか、産みたい病院があるとか。
そういう希望を持つことは当然だと思っていますが、統合失調症の患者だと言えばきっと相手にされないだろうと思い
仮に相手にされたとしても、おそらく産婦人科と精神科が併設されている総合病院で産むことを提案・強制されることになるだろうと考え、相談しませんでした。
D病院を受診することを決め、さらに私は夫に同行してもらうことを考えました。
「統合失調症の患者」は人格を認められていないように私は常々感じていました。
人として扱ってもらえないような感覚です。
夫がそばにいれば、とにかくハクがつくのです。
夫は痩せ型で見た目にかっこよく、説得力のあるしっかりとした話し方で、落ち着いた雰囲気の立派な社会人です。
そんな夫がそばにいると、なんだか私まで輝くように感じます。
「トロフィーワイフ」ならぬ「トロフィーハズバンド」。
そんな存在にも思えるほどです。
きっと、そんな夫がそばにいてくれれば、精神科医は私の話をまともに聞いてくれる。
当日病院でまず話す受付の人だって、私をちゃんと人間として扱ってくれる。
統合失調症という負の肩書にも勝る、「この人の妻」という肩書を持って病院に行きたい。
そう思って、夫に話しました。
「病院に一緒に来てくれる?」
「いいよ」
「ありがとう…」
夫は平日午前中の病院に同行するために、仕事のお休みをとってくれました。
今までの経験から、女医先生につきたいという希望を持っていたので、希望が叶うかもしれない曜日を選びました。
(先生の指名はできないようでしたが、複数の女医先生が担当している曜日を選びました。)
D病院に行く当日。
その日はとてもよく晴れていました。
秋が深まる頃でした。
ピリピリと冷たい空気が頬にささり、強制入院の前日の家出を思い起しました。
(「統合失調症を発病するまで(3)~幻覚に導かれた家出」記事参照)
その病院との出会いは、私の人生を大きく変えました。
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