大学に通い始めてから通いやすい病院に転院し、そこでも減薬に励みました。
私は減薬による離脱症状は、正直なところ一度も出たことがないのです。
とにかく少しずつ減らすこと、基本的にはお薬の一番小さな粒を一つずつ減らしていく。そして、一粒減らしたら3~4ヵ月は同量を毎日飲み続ける、ということは意識していました。
3~4ヵ月にならず、半年になった時期もありましたが。
大学に入学して転院した病院は、個人で開業しているメンタルクリニックでした。
(Cクリニックとします)
Cクリニックは、強制入院の頃からずっと診て頂いていたM先生に紹介を受けました。
「患者さんの評判はあまり良くないけれど、医者の間では評判の良い、信頼がある先生です」と紹介されました。
(病院の口コミサイトでは評判の良くないクリニックでした。その当時は調べず、後から知ったことですが)
この「患者さんの評判はあまり良くない」ということを後から実感するようになるのですが、その時は大学の近くにあり、通いやすいCクリニックへの転院を嬉しく思いました。
そこで私は減薬を順調に進めていました。
お薬はリスパダールのみの服用になり、それも少しずつ減らしていった時期でした。
お薬がどんどん減っていく中、私の心に湧いてきた疑問がありました。
「私は本当に統合失調症なのか?」
病識がない、ということ
とは違っていたように思います。
強制入院当時の私の症状はとても重いものでした。
私の心が壊れかかっていた瞬間、その時の感覚を忘れたことはありません。
いつでも、その時に感じたこと、思ったことはリアルに思い出すことができるほどの衝撃的な感覚でした。
でも、私の症状は一度きりで再発することはなかったですし、何よりも「その感覚」を詳細に覚えているだけに、これからそれが再発する気が全くしませんでした。
統合失調症には、誤診も多いはず。
統合失調症のような強い症状が出ただけではないのか?
私はそういったニュアンスで、Cクリニックの先生に質問を繰り返しました。
大学生活をしながら、「私は、実は統合失調症である」という思いを隠して生きていることが辛かったという理由もあります。
学生生活では少ないですが友達もできました。卒業旅行に一緒に行き、今でも仲良くしている友達もいます。
けれど、私が心の病気だということは話せても、「統合失調症」という病名は話したことはありません。
この病名には、「鬱病」とは違う、独特の存在感・響きがあると感じます。少なくとも私はそう感じていました。
また、婚活を意識する中、統合失調症という病気では結婚なんかできるわけない、と強く思い込んでいました。
とにかく統合失調症という病名から離れたい。
その病名がなければ、例えばうつ病であれば「心の風邪」で通るのに…!
という思いを強く感じながら、訴えるように先生に問いかけていました。
「自立支援を受けていながら、統合失調症じゃないなんて通らないよ」
とCクリニックの先生に言われました。
「…????」
一瞬、耳を疑いました。
何を言われたかよく分かりませんでした。
その先生は終始穏やかに話していたため、けん制されたことにすぐには気づきませんでした。
その当時、私は自立支援医療を利用していました。
統合失調症等の精神疾患にかかった際に、精神科の受診やそれに関するお薬代の自己負担が減免される制度です。
強制入院した当時からお世話になっていたM先生に薦められた制度で、お薬代は長期に服用することを考えるととても高価ですし、迷いなく利用していた制度でした。
その自立支援医療を申請する際に、「統合失調症」という病名がしっかり記載されている。
とCクリニックの先生は言ったのです。
私の訴えが、そんなに冷たくあしらわれるとは思っていませんでした。
私はそう言われて怒りの気持ちでいっぱいになり、勢いで自立支援医療の利用を止めました。
</s pan>
その時に止めて以来、私は一切自立支援医療を利用しませんでした。
私はその当時まだ両親の家計で養われていましたので、私の希望を通してくれた両親には感謝しています。
お薬代、受診代が高くついても、意地でも自立支援医療は利用したくない。
そう強く思いました。