産後、向き合ったこと(1)~出産を機に自分の過去と向き合うことに~

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私の出産について、少し具体的に書きます。

私は里帰り出産はしませんでした。

夫の転勤に伴って住んでいる家は、私と夫、どちらの実家からも遠い場所です。(新幹線で数時間かかる距離です。)

妊娠した当初、私は里帰り出産も検討しました。

しかし私の実家がある場所では慢性的に産婦人科が不足しており、

そこに住んでいる人だけで手いっぱいのようでした。

実際、私の実家から近距離の産婦人科をホームページで調べたところ

妊娠初期、それも相当早い時期に分娩予約をとるようにと明記してありました。

それは相当混んでいるからだろうというのは予測がつきました。

実家近辺は、人が多く住んでいる割には産婦人科が不足している地域ということが分かり、私は産婦人科を探していた時期、早々に里帰り出産をしないことを決めました。

ただ、産後のサポートは必要と思ったため、産後は実母に泊まり込みで手伝ってもらうことにしました。

そして出産の直前から、実母は私と夫が暮らす家に泊まり込んで手伝ってくれました。

このことは、ありがたいことではありました。

しかし、もともと母との間に確執を抱えていた私としては苦しむ原因ともなりました。

私が難産に苦しんでいた時、母が私の夫に対し言った言葉がありました。(後から夫に聞いた話です。)

「こんなに(子どもを産むことは)大変なんだから、子どものことを(人生を)少しくらい(親の)好きなようにしたっていい」

それを聞いて夫はすぐに反論したそうです。

「(子どもの人生を親の好きなようにするなんて)絶対に駄目だ。少なくともうちでは(夫の実家では)そういう風には育てられてこなかった」

この夫から聞いたやりとりを、産後に私は何度も何度も思い返したものでした。

私の母は、母自身の夢を私に託して叶えさせるために、音楽の道に私を誘導してきた人です。

私が音楽を好きだったか。どうしても音楽をやりたかったのかと考えると、そうではなかったと思っています。

進路を決める際に、音楽の道を選ばなければ母が発狂しそうだと感じた時。

母が発狂してしまったら家族が壊れてしまう。だから、音楽の道に進む。

「きっと、なんとかなるから」

そう思った瞬間のことは、今でもくっきりと覚えています。

そうやって選択した音楽の道が、「高校進学」のタイミングからだったため

進路変更することが非常に困難になり、音楽で身を立てることはとても難しく

「わらにもすがる」感覚の人生が結婚するまでずっと続くことになりました。

その精神的な苦しみを、今でも忘れたことはありません。

自分の人生が、自分のコントロールから離れている感覚。

必死で、自分のコントロール内に戻したいともがいているような日々。

その苦しみが、自分が望んだわけではない進路を強制されてしまった苦しみは

「子どもの人生を、少しくらい親が好きなようにしたっていい。こんなに(出産・育児は)大変なんだから」

という母の発言がすべてを物語っているように感じました。

結局、もっと分かりやすく言えば

「出産・育児は大変なんだから、自分が叶えられなかった夢を替わりに叶えてもらうくらいのことをしないと割にあわない」

ということです。

このことを産後すぐに知り、私はひどく傷つきました。

私が統合失調症の発病に至るまでの苦しい過去、その過去を共有した母と、産後一緒に過ごす時間が一気に増えたことで、否応なく自分の過去をつきつけられたような思いに至ったのです。

自分の過去に、再度傷つく時間。それも私の産後に襲った苦しみでした。

この2冊の本はどちらも、何度も繰り返し読みました。


毒になる親 一生苦しむ子供 (講談社+α文庫)


不幸にする親 人生を奪われる子供 (講談社+α文庫)

この2冊の本は、私が自分の過去を受け入れるための大きな助けとなってくれました。

いったん、自分の親を否定する。

自分の親はいい親ではなかったとしっかり認識する。

この過程なくしては、今の自己肯定には至らなかったと思っています。

まずは毒になる親 一生苦しむ子供 (講談社+α文庫)
を購入し読んだのですが、
「悪い親ではない」と考えていた私の親を
子どもに自分の夢を託すために一貫性のない態度をとるなど、正しくない手段を使ってきた「毒親」だったのだと意識できたことが大きな収穫でした。
身体的な虐待を受けた訳ではなく、食べさせてくれた親ですが
それでも
「精神的な毒親が一生子どもを苦しめる」
という事実をはっきりと書いてくれたことに強く感動しました。

その本で提唱している「毒親との対決」も実践しました。
それについては長くなりますので、また別記事で書かせて頂きます。

また不幸にする親 人生を奪われる子供 (講談社+α文庫)も購入し、
それも熟読したのですが
具体的にどのように自分の人生を毒親のコントロールから解放して「精神的な自立」
をつかめるのか、更にヒントが欲しくなり
アマゾンで探し、翻訳者が同一(玉置 悟)のこの本にヒントを求めました。
この本の最終章には、毒親の過剰なコントロールから解放されるための
具体的な方法がいくつも載っており、とても参考になりました。
そして最後に、毒親に苦しめられた自分に自信を持つことができる励ましのメッセージがあります。
意味合いとしては
毒親に苦しめられてもここまで生き抜いてきたあなたは、
これからの人生でどんな壁にぶち当たってもきっと強く生きていける。
というようなメッセージです。

この2冊の本を読んだ時、どちらを読んでいても
涙がずっと止まりませんでした。
なかなか分かってもらえない、「一見、よい親」に対して持つ複雑な気持ちに
初めて共感してもらえた感激に震えました。

私の夫は愛情豊かな両親に育てられており、
夫が得意で好きな分野の能力を伸ばすことを自然にサポートされた子ども時代を送っていました。
そのおかげで夫は得意分野を活かした仕事に就いており、
大きなストレスを感じずに私と子どもを養ってくれているので本当にありがたいことですが、
私の苦しみに対する強い共感を得ることはできません。
なので私は読書で共感を得ることを大切にしています。

産後、私は子どもを育てることで同時に自分の過去にも向き合わざるを得ませんでした。

サポートしてくれた母と過ごすだけで喧嘩が絶えませんでしたし、我が子に無償の愛を感じない自分は欠陥があるのではないかと悩みました。

とても苦しい時間でした。

しかし、それでも私は過去に向き合ってよかったと思っています。

抗精神病薬から卒業し、精神科の通院から卒業し、

そして統合失調症によって傷つけられた過去を受け入れて

自信が全くなかった自分を好きになっていく。

統合失調症になったことをずっと恨み、憎んでいたけれど

自分だけが見た景色を、自分が見て体験した人生を

「私だけが見た、私だけが感じた人生の経験」

と思えるようになったからです。

私だけが見た景色を、どうしても伝えたい。

そう思ったから、このブログを始めました。

 そう思えた時、私は本当の意味で統合失調症を卒業できたのだと思っています。

統合失調症によって、私の小さな「プライド」「自信」は本当に滅茶苦茶になりました。

でも

「自分だけが見た景色は、私だけの人生」

と思えたということは、きっと自信を持つことができたということと思っています。

いつも応援クリックをありがとうございます。励みにして頑張っています。

人気ブログランキングへ