前回の記事で、統合失調症でありながら妊娠・出産を考える時にどうしても気になってしまう「抗精神病薬が胎児に及ぼす影響」について私が考えてきたことを書きました。
こういった内容を自分なりの考えとしてまとめておき、後の夫となるEさんとの会話の中でもさり気なく会話にのぼらせてアピールするようにしていました。
Eさんが子どもを欲しがっていることは間違いなかったからです。
ただ、統合失調症の女性が妊娠・出産を考える時、悩ましい問題は他にもたくさんあります。
一つ挙げるとすれば、「産後のストレスに耐えられるかどうか」という問題。
産後の生活は、メンタルに何の問題もない、むしろ心が強いように見える女性であっても本当に苦しいもので、時に発狂したくなるほどと言われています。
何しろ、睡眠が満足に得られないということは本当に精神的に追い詰められますし、ホルモンバランスの乱れという現象もよく知られています。
今の時代は共働き世帯が多数派になったこともあり、産後のみならず、子どもができてからの生活はずっとハードモードだと語る内容のコラムもインターネットでたくさん見つけることができます。
そういった背景もあり、長い期間お世話になったBメンタルクリニックの先生は
「産後は、統合失調症の再発が起きやすい時期です。その時に服薬を止めないでくださいね」
と折に触れて話していました。
私が自分のたどってきた道を順を追って綴る流れからは少しそれてしまいますが、このブログを読んでくださっている方々にとって役立てる可能性を考えて、産後について少し書きます。
結果的には、私は出産する前に抗精神病薬の服用から卒業することができ、その時から現在まで一切、抗精神病薬を飲んでいません。
ただ、産後に全く苦しみがなかったわけではありません。
同じ状況に至ったら産後うつだと判断して精神科にかかる人がいてもおかしくない状況でした。
でも私は精神科の門はたたきませんでした。
抗精神病薬を服用し始めたらなかなかやめられないことを思うと、精神科にもう一度行こうとは全く思いませんでした。
私の出産はかなりの難産でした。
それに統合失調症は全く関係ありませんが。
難産の後、私は我が子に距離感をおぼえました。
私が子どもを作ることに躊躇しなかったのは、最愛の夫のEさんが子どもを欲しがっていたからですが
「きっと、産めば自分の子どもは可愛いくて仕方ないだろう」
という楽観があったことは否めません。
「自分の子どもはかわいいよ」
「子どものためなら頑張れるから」
などと言う人は本当にたくさんいます。
家族にも、身近な人にも、インターネットの中にも。
でも、私は子どもに対して気持ちがそれほど盛り上がりませんでした。
私が一番愛している存在は、私を心から愛して守ってくれる夫で、
産後もそれが変わることはありませんでした。
夫は、私の両親よりも
誰よりも私のことを愛して大切にしてくれる人です。
私を深く理解し、もっと深く理解しようと常に努力してくれて、私を受け入れて、その上で愛してくれる。
一緒に楽しい思い出を積み重ねていくために、いつも旅行の計画を練ってくれる。
専業主婦の私を責めたりせず、家事と育児を一生懸命手伝い、それでいて「ありがとう」「愛してる」といつも言ってくれる。
そんな夫にとって、子どもを作ることは譲れないことでした。
私は
「夫に愛を伝えるには、我が子を大切に育てることから逃げられない」
と覚悟を決めました。
私は育児について色々と調べ、
健康に産まれた娘をこれからも健康に育てるための具体的な工夫などもしていますが、
ほとばしるような愛情はありません。
この子が不幸になったらかわいそうだ、不幸にならないように努力しようという気持ちだけはありますが。
「愛おしくて愛おしくてたまらない」と感じる人は、ずっと変わることなく夫です。
考えようによっては、夫婦仲がいいと目に見えて家庭の雰囲気は明るく楽しくなるので、
子どもにとってそれも悪くないかなと思っている日々です。
両親が仲が悪いことは子どもにとって悲しいことだと思いますので。
産後の話をざっと書きましたが、つまりは抗精神病薬に頼ることはなく
特に発狂して家族を困らせるようなこともなく、
子どもがいる生活に慣れていくことができました。
具体的に気を付けたのは、共感できないと分かっている人とできるだけ距離を置くこと。
これに気付いてから、ずいぶん精神的に楽になりました。
私は少し変わり者なので、あまり身の回りの人たちに共感できないことが多いです。
産後に精神的なつらさを感じてインターネットで答えを求めて検索すると
「ママ友を作って子育てのつらさを共感しあいましょう」
なんて書いてありますが、
私はどうしても共感できないのです。
子育てがつらいのは共感しますが、なぜつらいのか、どのようにつらいのかという感覚が違う。
電話相談などでカウンセラーに話を聞いてもらう時ですら
「あなたは自分が一番かわいい人(自己中心的な人という意味…)なんでしょう」
などと傷つけられたこともありました。
もともと、共感して悩みを分かってもらうためには
「似た価値観」
「似た感覚」
が必要なのだと気づいてから、
むやみに他人に本音を話すことをやめました。
「聞いてもらえるだけで楽になるよ」
なんて嘘で、
「聞いて、理解して共感してくれたら楽になる」
が正しいと思います。
そうやって私は自分がむやみに傷つけられることから逃れることができ、
心の平安を保つように日々気を付けています。
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