無職からフリーターへ(2)~仕事を転々とした日々~

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「正社員の仕事を探しなさい」

それが当時交際していたGさんに突き付けられた課題でした。

正社員の仕事は、一度探したことがあります。(早々と諦めましたが…)

もう一度探すべきなのか。

苦しみました。

ただ、当時アルバイトしていた飲食店も過酷な職場環境で、いつ大怪我をする事態になってもおかしくないと思わせられる職場でした。

もともと手先が器用でなく、体力もない文化系の私にとってふさわしくない職場であることは明らかでした。

私は当時、色々な求人を眺めていました。

私に何の仕事が向くか、と考える余裕はありませんでした。

何の仕事の募集があるのか。

飲食の仕事はもう無理だと思ったので、どの仕事も「未経験」で応募するしかない。

未経験で応募を受けつけてくれる仕事はあるのか??

その当時、未経験OKの仕事はアルバイトが圧倒的に多く、正社員の求人は多くありませんでした。

私は就活を再開し、何度も何度も落ちました。

就活に「休日」はありません。

応募し、履歴書を書く。

手書きで履歴書を一生懸命書き、修正液を使うことも良くないと信じて、書き損じたら新しい履歴書を一から書き直す。

私は少しおっちょこちょいなのかもしれませんが、履歴書を何度も書き損じて新しく書き直す作業は本当につらく、悲しく、気持ちを落ち着けて休める時はありませんでした。

過酷な飲食店は半年ももたずに辞めました。

辞めた時、新しい仕事はまだ決まっていませんでした。

自分に合わない仕事を続けることは難しい。

かといって、自分に合う仕事を探す以前に、自分を雇ってくれるところがない。

Gさんに別れを告げられたのは、過酷な飲食店を辞めてすぐ、まだ新しい仕事は決まらない頃でした。

ほんの少しであっても、思い出を共有した人との別れは、悲しく寂しいものでした。

「正社員の仕事を探しなさい」

と同時に

「自分は共働きでないと生活が難しいから」

と言っていたのに。

私は比較的情が厚いタイプの人間なので、

関わった人をなかなか嫌いになることができませんでした。

それでも別れは来るものでした。

相性が合わない男性との交際は続かない。

仕事も、異性との関係も、

「私に合わなかった」

今考えても同じ結論になります。

私は仕事を探し続け、ハローワークに通い、

正社員で応募したものの「とりあえずはアルバイトで」

という条件で仕事を見つけました。

事務の仕事でしたが、そこはブラック企業で

2か月もたずに辞めました。

そうやって私はブラック企業を渡り歩き、

合わない仕事に苦しみ、同時に人間関係に苦しみぬいて辞め、

短い職歴を積み重ね

履歴書に関係のないたくさんの仕事を書き連ねては

新しい仕事を探す。

という、精神的にとても苦しい人生に否応なく突入することになりました。

学生時代から交流の続いていた友達は、みな幸せな人生をつかみ取っていました。

恋愛して強く求婚されて結婚し、自分は働かなくても好きに使えるお金を持っている話。

自分の好きなことを専門的に学び、仕事として信頼を得て使い切れないほどのお金を稼いでいる話。

たくさんの幸せな話を複数の友達から聞きました。

本当に、本当に、うらやましかったです。

なぜ、友達の中で私だけがこんなにみじめな思いをしなくてはならないのか。

何を間違えたのだろう。

どこから人生を間違えたのだろう。

統合失調症を発症したからこうなったのか。

いや、そもそも覚悟なく音楽を専門に学んだことが間違いだったのか?

新卒で正社員の仕事を探さなかったことだろうか…。

友達に対して、ものすごく卑屈になりました。

気持ちもそうでしたし、態度もそうなっていたことでしょう。

私に対して、何の遠慮もなく自慢話をしてくる友達は、少し勝ち誇った気持ちになっていたのかもしれません。

実家の両親は、私が仕事がなくなると「月に3万円」のお小遣いを必ずくれました。

月に3万円という金額は、食事も寝室も与えてくれますから生きるのには困りません。

ただ、私の友達はいわゆる「リア充」の人達が多く、

本当に華やかにお金を使っていました。

そういった友達と完全に距離を置く決断はできませんでした。

私は「結婚」を目指していたからです。

友達との縁を切ってはならない。こういった友達と縁があることが、もしかしたら結婚に結びつくかもしれない。

結婚を意識して、絶対に仕事を探し、月3万円の生活ではなく、もっと稼がなくてはならない。

婚活サービスに登録して、複数の男性と会いました。

会えば

「そめやさんは、お仕事は何をしているんですか?」

と必ず聞かれました。

(仕事を探さないと…!!!)

ひたすら自分を駆り立てていました。

もはや仕事を探す目的は「仕事していないと結婚できない(男性に魅力を感じてもらえない)」となっていました。

そうやって仕事を探してはまたブラック企業に縁があり、深く傷ついて辞める、そんなことの繰り返し。

考えてみれば、私のおかしな職歴・学歴を見て雇ってくれる会社はブラック企業だけだったのです。

私は非正規の仕事をすることにしました。

派遣で縁があった会社は、定期的に派遣切りを行う非情な会社でしたが、

人間関係は温かく、のんびりした雰囲気の会社でした。

非正規であっても、

お給料がとても少なくても、

定期的にクビになっても、

「大怪我のリスクがほとんどなく」

「人間関係が悪くなければ」

何とか続けられるものだと思いました。

少しでも生活が上向けばいい。

「仕事をしている」状態になれば、お会いした男性に仕事のことを聞かれても気後れしないですむ。

そう考えました。

私は、最愛の夫と出会って結婚するまで、非正規の仕事を続けました。

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